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July 03, 2011

ベートーヴェン:交響曲第5番、エグモント序曲 5/27/1947

第1楽章の問題も解決。リマスターによって、音質改善      

      
  ベートーヴェン:交響曲第5番 (CD)       

フルトベングラーが非ナチ化(戦犯)裁判に勝利し、復帰第一回目の演奏会3日目の録音である(1947/5/27)。第五交響曲を、これほどドラマチック に、いわば即興的に燃えて演奏した例はない。1943年の、木造のベルリンフィルが焼け落ちる前の、叩きつけるようなライブとともに、持っておきたい至高 の名演の一つである。

同一日の録音、同一音源でも、本物に初めて出会えた感があるので、この日の CD を他のプロデュースで買い多くの友人にプレゼントしてきた贖罪を含め、コメントしたい。LP 1400 番台の疑似ステレオ盤を NHK-FM エアチェックして、驚愕した。しかも、1楽章の終わりでは、楽員の興奮のあまりか、ピッチが少しずつずり上がってしまっている。よくフラットにはなるが、 こういう現象は聞いた事がない。指揮者は気づいていて、1楽章終結直前のフェルマータの後、長いポーズを取りピッチを元に戻すので、一聴、ピッチが下がっ たかの印象を受ける。このエアチェックテープでは、このあたりが明瞭に聞き取れた。

しかし、LPも6000番台になると、この、ライブでしか味わえない不思議なピッチの上下もなく、平板になってしまっていた。音楽之友社や、高名 な評論家もプロデュースに関与されたようである。おそらく電気的に編集を施した盤が、CD でも発売。これ以外なかったから、無理でも買わざるを得なかった。シュワンのディスコグラフィーには、5/25日演奏のみしか載っていなかった。

この CD は、よく注意して、1楽章終結直前を聞いていただきたい。私の指摘を確認できるはず。海外のプロデューサーによって、リマスターされ、息を吹き返した、究極の歴史的名演!! こちらをお薦めする。

尚、フルトベングラーは、「音と言葉」白水社、新潮文庫本、「音楽ノート」「フルトベングラーの手記」など、音楽解釈と言うよりは、音楽哲学を も、多く記し残している。「音と言葉」の中では、第5交響曲のリズムテーマや一楽章について、楽譜に基づき長文で論じているので、参考にされたい。

付記 Delta Classics によるLPからの復刻、第二世代
ベートーヴェン:《エグモント》序曲/交響曲第1番(*)/交響曲第5番《運命》
広い音場ではないが、ややステレオ感あり楽音も自然。

付記 LP SLGM-1439
'60年代の疑似ステレオ盤を35年ほどぶりに聞いた。上野の東京文化会館 音楽資料室の貴重なコレクション、豪華な器機に感謝申し上げる。この LP、針音もキズもなくきちんと管理され、何千回となく Play されてきた事であろう。既にジャケットはボロボロであるが...

楽音の自然さ、楽器の強烈なアタック、吹き抜ける高域の伸び、クラリネットの飛び出しも自然に聞こえる。靴を踏みならしての加速、爆発するスフォルツァンド、マスターテープのゴーストもカットされていない。

緊張感を伝える椅子のきしみ、聴衆のセキ(最初のみ)、ピアニッシシモでのオーケストラへの鞭(タクトでピシッと二度叩いて注意を促す)。低音か ら開始されるアインザッツ、人声に似たまた時には荒々しい音色、テンポの適切さそして加速減速、リズムの刻みや、低弦のピッチカートに至るまで決して疎か にしてはいない、これら熱狂的な日本人のファン呼ぶ所の"フルトベングラー節"を堪能でき、改めて襟を正さずにはいられなかった。

-- モノーラル音源から彼のために開発された Stereo Transcription による音場の広さ、残響の広がり、これら真のハイファイ(高忠実度)技術を体験できた。プロデュースの違いによってオリジナルの立派さを知る事ができ、音 楽の深さ、音楽探究の底知れなさを味あわせてくれた。日本音楽ファン、レコード大国に 多謝。

Symphony_5_egmont
ベートーヴェン:交響曲第5番

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June 17, 2011

ベートーヴェン:「コリオラン」/シューベルト:交響曲第9番《ザ・グレイト》

シューベルト 交響曲 9番 "The Great" 12/6~8/1942 ベルリンフィルとのライブ録音

Shubert_1942

ベートーヴェン:「コリオラン」/シューベルト:交響曲第9番《ザ・グレイト》

凄まじい迫力! すでにコリオラン序曲から気づかされる。実演の彼ならではの特色がよく現れた一枚と言える。牧歌的なホルンによる冒頭はいかにもゆっくりと開始される。しかし、有機的・創造的演奏を求める指揮者の合図によってか、凄まじいテュッティのフォルテ、そして極端とも思われる加速や緩急のアゴーギク、楽器のアタックや、壮絶なスフォルツァンド、しかも緊密な緻密なアンサンブル... これだけでもこの一枚を手に入れる値打ちはあった。尚、文末に Timing 比較を書いてみた。イタ起こしによって、低音含めて楽器の音は非常に美しく、なめらかな自然な音になっている。

この曲は作曲者の死後発見されている。ライプツィッヒに住んでいたシューマンがウィーンを訪れ、ベートーベンとシューベルトの墓に詣でた。その帰途、シューベルトの兄のフェルディナンドを訪問。そこでおびただしい数の楽譜、まるで宝の山を発見する。革命的文化人は、世の迫害に会う事はいつも同じだ。この交響曲もその一つであるが、一見してその価値を見抜き、また練習のあとで恋人クララ(後の夫人)宛に「天国のように長い交響曲」と知らせている。メンデルスゾーン指揮ライプツィッヒ ゲヴァントハウス響によって初演され、世界中のオーケストラのレパートリーに加えられる事になった。「音楽と音楽家」にも翻訳されているが、シューマンの「新音楽」ジャーナルにこの曲が「フランツ シューベルトのハ長調交響曲」としていきさつが紹介され例の「天国的のように長い」という形容詞が使われている。

無謀にも Timing を比較してみた。
当盤 ベルリンフィル   ウィーンフィルとのライブ1953 スタジオ録音盤
1st Mov 13'51        15'02               14'45
2nd Mov 16'50        17'30               17'18
3rd Mov 09'45        09'58               11'16
4th Mov 10'40        11'23               11'38

意味があるのか分からぬ無謀な試みとお笑い戴きたいが、どうしても二つのライブ演奏、スタジオ録音を比較して聴いてしまう。全体として、ウィーン盤ライブよりもテンポは速め、また、アゴーギクを効かせて速い所では非常に速く、迫力満点の演奏である。

参考:
音楽と音楽家 (岩波文庫 青 502-1) p.168 「フランツ シューベルトのハ長調交響曲」
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」/ロザムンデ序曲 ウィーンフィルとのライブ盤 8/30/1953
シューベルト:交響曲第9番 ベルリンフィルとのスタジオ録音 11~12/ 1951

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June 16, 2011

ベートーベン バイオリン協奏曲とロマンス1,2, Menuhin and Furtwangler

この協奏曲の最も感動的な演奏、二人の最初の共演, 2011/4/12       

              
      
  Review: Violin Concerto Romances (CD)       

1947年と言えば、悪夢の非ナチ化裁判を、ニューヨーク生まれのユダヤ人30歳のメニューインの弁護などによって乗り越え勝利し、しかも彼等の初のコラボレーションである。
この、ベートーベンの EMI SP用スタジオ録音に際し、「音楽は河の流れのようなもの、ある時は速く、ある時はゆったりと流れて河口へと向かう」と指揮者は教えたと、後年メニューイン氏は語っている。

Lucerne Festival O.  とのこの盤は、古今のこの曲の演奏の中で、最も感動深く、フランスのフルトヴェングラー ディスコグラフィー作者も薦めている。英米 Amazon で見つけて購入し、何回も聴いてしばらくは涙が止まらなかった。Obama 大統領など多くの指導者にも贈呈申し上げた。

EMI は、LP用の Philharmonia O. との盤ができたら、そちらを優先的に売って、こちらは EMI のリストには既にない。日本では、SP録音のためか、批評家含めて広くは知られていないようである。Amazon JP 以外には日本で求めにくく、同社に感謝申し上げる。

ロマンス1,2 Philharmonia O. と組み合わされて "TESTAMENT(聖書)" レーベルからの販売である。

Violin_concerto
Violin Concerto & Romances

参考:
Bayreuther Festspiele, Furtwangler: Beethoven Symphonie No. 9
第九交響曲 "合唱" の真のライブ ORFEO盤

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May 08, 2011

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番/交響曲第7番 (CD)

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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番/交響曲第7番

暗いが滋味溢れるロマン的演奏を、高忠実に LP 復刻.DreamLife ありがとう, 2011/5/8

             
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番/交響曲第7番 (CD)       

10/31~11/ 3/1943 旧フィルハーモニー, ベルリンにて

戦時下の、これらフルトヴェングラー録音テープ含め器機やコンセントまでソ連軍に持ち去られた。彼の地でメロディア レーベルで販売されたもの。今回その希少な LP から復刻されて良質の音でプレスされている。LP 時代から評価の高い演奏だがモノラル音の不自然さに、何度か CD も取っ替え買い直した。DreamLife 社のおすすめ盤の第一として購入し自然な楽音に溜飲を下げている。SACD ハイブリッド、復刻の背景となる分厚い解説付き。

コンラート・ハンゼンは来日時の印象では、平凡なピアニストとの印象らしい。しかし、ここでは巨匠のサポートの元、極めてロマンチックな冴えを見 せ、バックハウスにも劣らない。ピアノから静かに開始されるが、オケのテュッティは、凄まじい爆発を見せる。冒頭、指揮者が何度もタクトでピシッと叩いて (フルベンにはよくある)注意をうながしている。この楽章のカデンツァは、非常に長く、アパッショナータの主題まで出てくるが、おそらく指揮者のアイデア も、入っているだろう。

第二楽章は、ピアノとオーケストラが交代して掛け合いを見せるが、ゆったりしたテンポ、弱音のピアノとフォルテのオケが説得力を持って迫ってく る。この楽章の終結部分は非常にゆったりとしてロマン的に締めくくるが、テンポがよく持つと思われるくらい遅く、死んでしまうかのようにゆっくり静かに終 わる。他の演奏にない暗い印象。

フィナーレはいつものように活気に満ち聴いていて元気づけられる。エトヴィン フィッシャーとの5番"皇帝"よりも好きになってしまった。LP 復刻や良質なプロデュースは DreamLife 盤の他は見あたらない。

交響曲7番については、フルトヴェングラーのレコードもいくつも存在するし、EMI のスタジオ録音始め感動的であるが、この大戦時の演奏は、エネルギッシュにスフォルツァンドを効かし、"リズムの権化" にふさわしいものだ。リズムとディナーミクは一体のものであることを感じさせてくれる。

参考:
フルトヴェングラー 音と言葉
音と言葉 (新潮文庫)
フルトヴェングラー 音楽ノート
フェルトヴェングラーの手記
回想のフルトヴェングラー (1982年) (白水叢書〈62〉) エリーザベト夫人による
http://www.peace-ashram.org/essay/Furtwangler.doc an English essay 英語論文

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April 06, 2011

音楽は震災の最高の激励

Subject: 音楽は震災の最高の激励 ( ^ o ^ )
     Music is the most encouraging present for the quake victims


Bayreuther Festspiele, Furtwangler: Beethoven Symphonie No. 9



This is now the European Union Anthem!
当 ORFEO 盤は Bayerischen Rundfunks バイエルン ラジオ放送局のオリジ
ナルテープを使用した、Wilhelm Furtwanglerによる 7/29/1951 バイロイト
音楽祭の第9"合唱"。ライブというふれ込みで知られてきた EMI 盤は、
この日の演奏とは異なるものから明らかに編集・修正を施されている...
とのライナーノーツ。70 年代から、EMI盤 LP Breitlang stereo、
CD Breitlang、足音・拍手入り盤、Delta Classics による復刻盤と聴いて
きて、永年のファンには信じがたいことである。

輸入し現在慎重に聴いている。

ORFEO 盤 74' 32   EMI日本 TOCE-3007 Breitlang stereo 8/30/1995販
1 Mov 18' 10     17' 46
2 Mov 11' 56     11' 56
3 Mov 19' 23     19' 33
4 Mov 25' 01     24' 54
Timing 2楽章は同じ、3楽章は当盤が10秒短い。両端楽章はよりゆっくり
めに演奏されている。例のアゴーギクによって緩急自在なものだし、
両者の仕方は非常に似通っている。

ORFEO盤 冒頭からある種の雑音や、臨場感には気づかされ、聴衆の咳も
はっきり聞こえる。モノラルの音を差し引いても、管楽器の美しさ、弦を
含めたより緻密な明確なアンサンブル。極端なピアニシシモをはじめと
して、ダイナミックスは大きく、フォルティッシモ、アタックの迫力、
リズムの切れ、低弦のピッチカート... いつものフルトベングラー節。

合唱入りの4楽章は、聞き所も多い。Freude!(Bass) Freude!(合唱)は、
一瞬の遅れもなく見事に決まっている。ここで初めて声出す合唱のアイン
ザッツとして指揮者は前2拍を足で踏んでいる。(実演の彼ならやりかね
ないが、"1,2,3"と明確) 足音によるアインザッツは、1拍のものが
他でも聞き取れる。ソプラノソロのシュワルツコップも、時に上ずって
いないか、と聞こえるし、圧倒的な終楽章の仕上がり。

しかし、疑似ステレオ盤を持っておられれば、広い音場や自然な楽音は
捨てがたい。今更、どちらのプロダクションが本物、偽物の議論を
リスナーがするメリットは少ない。どちらもすばらしいし、EMI 盤は
(リハーサルとしても)バイロイト音楽祭の第9の名を高めてきた。
どちらが、音楽的に優れているか。これはリスナーそれぞれ判断は
分かれるかも知れない。

今は ORFEO 盤を中心に聴いているし、私の嗜好はこちらに傾いた。最初に
書いた事実が真実であるとして、それを受け入れるのには時間がかかる。
何100回、何1,000回となく聴いているのだから。

それにしても、巨匠のテープは、戦時下のものは放送局からごっそり
盗まれたり、ピッチ改変してまで売られたり(ウラニアのエロイカ)、
他にも書いたが、商業主義にまみれている。

世界一熱狂的な、極東日本のファンに答えるよう、各プロダクションには
釘を刺したい。

EMI の Breitlang ステレオ盤 (LP、CD)、足音拍手盤がリハーサル
との編集として、ライブ盤の ORFEO。Total 3 disks!

参考:
Furtwangler.doc (英語)

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